「新鮮は美味しい」を起業理念に30種類以上の野菜を館山市神戸地区で3ヘクタールの田畑を切り盛りする。
　
古くからの農家の長男に生まれながら農業に背を向けていたが、父の体調不良をきっかけに家業を継いだのは1997年。大手百貨店マルイを退職し地元へと帰る。当時の売り先は市場と農協だけ。変動する相場に翻弄され、丹精込めた野菜を買い叩かれる悔しい思いをした。師匠であるはずの父の指導を受けられず、突然戻ってきた若輩者に周囲も冷ややかで、最初10年間は試行錯誤の連続だった。
　
慣れない農作業に戸惑いながらも、最初に手掛けたのは売り先の転換。マルイ時代に鍛えたトーク力を武器に、片っ端から地元の飲食店や宿泊施設に営業をかける。当初は相手にされなかったが売り先は少しずつ増え、現在は主力のレタスやトウモロコシを中心に30軒以上に販売。また相場に左右されないだけでなく、食べた人の声を直接聞けるメリットから、今でもあちこちのイベントに顔を出す。
　
通算出演30回を超え「お金のかからないメディア戦略」と豪語するテレビ・ラジオ。テレビの反響は大きく、出演をきっかけに契約が決まることもよくある。自ら表に出ていく営業努力の一方で、作る方にも真面目に取り組む。効率化を図ると同時に安心安全な野菜づくりを進め、館山で第一号となる「ちばエコ農産物」の認定という形で結果を残している。
　
最近では販売拠点としての「百笑園」や農業の魅力を伝えるためのNPO法人を立ち上げるなど、違った角度からも農業に取り組む。南房総イタリアン計画も徐々に遂行中。